関西支部設立1周年記念フォーラム・パネルディスカッション
主題 :「エンジェルから見た失敗するベンチャー」
パネラー:(敬称略)
吉田和男・京都大学大学院教授
細川信義・エンゼル証券(株)代表取締役
森中一郎・(株)エフアンドエム代表取締役
八幡恵介・IAIジャパン会長、ザ・フューチャーインターナショナル代表取締役
司会 :野村 透・(株)関西ベンチャーキャピタル会長
まず現在に至る経歴を各パネラーより自己紹介があった。
引き続いて「ベンチャーの失敗事例とその要因」について次のような論旨のコメントがあった。
(吉田氏)
失敗事例として同教授の親族のハイテクベンチャーをとりあげ、失敗の要因として以下の点を上げた。
・
石油危機の時期売上を急増した
・
売上急増で支店を増設した
・
売上急増は在庫および売掛金の管理の不徹底を招いた
以上の要因を分析の結果、次のような教訓を得た。
・
ベンチャーは短期間の急成長はだめ
・
ベンチャー経営の力の配分は、技術に2割、マネージメントに8割
さらに次の点も注目すべきである。
・
ベンチャーの成否はタイミングが大きなキーとなる。
優秀な技術でも、社会に受け入れられる環境が整っていなければ、ビジネスとしては成り立たない。
(細川氏)
ベンチャーの成否のポイントとして次の3つの要因をあげる。
1)
パートナーシップの構成がポイントになる
失敗事例:
1.
MBAを数多く集めたが失敗
意見が分かれデシジョン・メークが出来なかったため
2.
京大出をかついだが失敗
特許の保有者と他の2人の協力関係が築けなかったため
パートナーシップは一つの求心力になるような構成が必要
2)
タイミングの重要性
失敗事例:
億単位の資本を集め起業し、その後アライアンスの話が持ち上がったが、経営者が欲を出し、乗らなかったためタイミングを失しその後失敗した。
企業に勢いのあるタイミングを逃してはならない。
3)
経営者への信頼
事例:再支援を求めてきた人がその時既に特許を売却していたことが、事後に発覚した例がある。・・・一度失った信用は回復不能となる。失敗したら支援先には適切な時期に謝って、再スタートすべきである。
(森中)
30歳までに社長になるという目標をたて、就職先は中小企業を選び、経営者を観察してきた。29歳で経理・総務のアウトソーシングの会社を興した。
このような経験より、成功の要件は次のようなことと思う。
・
依存心がないこと
・
主従がはっきりした組織をつくること
・
経営者が魅力的であること
(人脈がひろげられ、支援が得られるから)
・
衆知を集めること
事例:ある人が散髪屋を開いた。まず日本全国で成功例をさがし、そのなかで自分の条件に合うものを取り入れた。モーニング・サービスを行うことであった。(コーヒーなどのサービス)結果は固定客ができて大成功であった。
・・・自分の考えだけで妙に工夫すると失敗する。衆知を集めその中から選択すべきである。
(八幡)
・ IAIジャパンのコーポレートガバナンス委員会が研究の成果として発表している起業家の倫理、起業家の資質の資料は失敗防止を目指して作ったもので、使えるはずである。
・
スタートアップ支援での失敗例は創業者のチームが事業に躓いて仲間割れし、その上飛び出したほうが投資家仲間にあることないこと悪口を言ったため資金が集まらなくなった
・
ベンチャーのスタートアップはリスクを負わなくてはならず、失敗は避けなければならないが、恐れてはならない。過去の失敗例から臆病になるのは真の起業家と言えない。大企業の経験でスタートアップを評価すると大方のベンチャーは失敗しそうに見える
・
ベンチャーの成功は起業後急成長することにあり、それが支援するエンジェルの醍醐味でもある。急成長の落とし穴を避けるための支援がエンジェルに期待される。
(八幡氏のコメントは、当日時間の関係で途中までとなりましたが、事後に編集者が同氏よりお聞きし補足したものです)
最後に司会の野村氏から「ベンチャーは創業者の成功への信念と事業開始のタイミングが最も重要であるが、次いで継続発展のためには良きパートナーを見出すことが必須条件である」と締めくくりの言葉があって、短時間ではあったが有意義なディスカッションを終了した。